「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

8月を終えて

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夏が得意だったはずなのに、

ここ数年は夏になると不調に悩まされている。

 

原因は検査をしたところで不明だ。

私は夏が苦手になってしまったようだ。

 

激動の8月が終わった。

そして、多忙な9月が始まった。

私はいつになったら落ち着くのだろうか。

 

結婚して、妻と一緒に住み始めて、

そしてうまくいけば望む通りに子供が生まれる。

もしも、私の望む未来に進むことになれば、

もはや落ち着く気配はなくなる。

 

これから先は慌ただしい期間を10年単位で送ることになるのだろう。

モラトリアムは終わった。

いや、去年の転職を機に終わっていたのだろう。

 

それまでの5年間ほど私は、自らを見つめる作業に没頭していた。

精神的にも、肉体的にも、1度ずつ死にかけて、人生のどん底と言っても良い期間を経た。

 

あまりにも長い間停滞していた私の人生は、少し動き始めた途端、まるで「KURE-556」でも差したかのように円滑に動き出した。

そして加速を増していく。私にもよくわからないくらいの速度で、私は結婚へと進んでいく。

 

私にとっての「KURE-556」は、間違いなく転職だった。

女性たちのことなど考える余裕もないくらいに、私は自分のするべきことに追われることになった。

それが良かったのだろう。

 

前の職場のクソ女を意識するたびに、私の手を離してはくれなかった、私の心の奥底に佇む「女性たちへの憎しみ」

それを知らず知らずのうちに、捨て去ることができたのだ。

 

女性に対する卑屈な感情は自然と溶けていく。

その状態で彼女と出会えたことが、今の私へと繋がっているのだ。

 

「きっかけは転職だった」

それは紛れもない事実だ。

 

もしも私が前の職場に留まる選択をしていたならば、私は今も鬱屈した人生を過ごしていたのかもしれない。

まだまだモラトリアムを満喫していたのかもしれない。

 

時と共に人の心は濁っていく。

何も悪いことをしているわけではないはずなのに、

透明だった心には、徐々に不純物が溜まっていくのだ。

 

底に沈んだ不純物を取り除くことはできないのかもしれない。

せいぜいできることは、マドラーでかき混ぜて、多少は透明なように見せかけることだけ。

男も女も、そうやって自分のことをよく見せかけて、理想の相手を捕まえようと躍起になる。

 

水はどんどん濁っていく。

それでも、溜まった不純物を抱えながら、

人は望む未来に向けて、勝負していかなければならなくなるのだ。

 

私はギリギリ間に合ったのかな。

それとも、彼女がギリギリ間に合ったのだろうか。

もしかしたら、二人ともギリギリのところだったのかもしれない。

 

お互いの心に抱える水槽の中身を見せ合った私たちは、お互いの不純物を確認しながらも、それを誤魔化すことなく受け入れあった。

 

会って3回目には、お互いの腹の内は手に取るようにわかる。

私たちは、自然とそんな関係を築くことができたのだ。

 

これから先も、変わらずに心の内を曝け出し会うことができれば、おそらく私たちの心は遠く離れてしまうことはないのだろう。

 

そう信じて進む9月が始まった。

私たちは先に進むのだ。