私たちは、このまま進めば間違いなく「スピード婚」に該当するのだろう。
お互いが知り合ってから、およそ半年から遅くとも1年以内でのゴールとなりそうだ。
スピード婚、
そうなる理由を3つ挙げてみる。
お互いの年齢はある。
彼女は私よりも少し年下だが同世代だ。
お互い子供を望んでいるので、先のことを考えると早く決断したほうが良い。
結婚を前提とした紹介ということもある。
私たちの出会いは、同世代からではなく親世代からの紹介だった。
そのような経緯から、形式上、交際となれば必然的に結婚となる。
それならば「早いほうがいい」と、そういうことになる。
お互いがお互いのことを申し分のないパートナーだと感じている。
私たちの相性の良さは、当人同士が一番感じているはずだ。
「価値観」は「近い」というレベルには収まらず「同じ」と言って差し支えない。
人生観や恋愛観、出会うに至るまでの歩み、
ここまで「同じ」相手と出会えることは奇跡だと感じる。
そして、少なくとも私は彼女のことを、人として心から尊敬している。
彼女は私のことを「見込んだ人」だと言ってくれる。
私たちは「異性」という枠を超えた関係を土台に築き、その上に恋愛感情を積み上げているのだ。
それが私にとってはとても心地よい。
私は性に対して潔癖なところがあるから、自らの女性に対する感情の出所にこだわる傾向が強い。
相手に対する感情が「性欲に起因するもの」なのか、それとも「誠実なもの」なのか。
私も一応は男だから、9割は前者に傾く。
それを「不誠実」だと捉えて、それを受け入れるまでに時間がかかっているうちにチャンスを逃す。
そんな負の連鎖が続いていた。
だけれども、彼女に対しては、土台に「確かな誠実さ」を感じることができる。
その実感が、私にとってはあまりにも大きいのだ。
少しずつだけれども、距離は縮まっている。
心だけでなく、体の距離も。
先日は、彼女の匂いを感じることができた。
香りに誤魔化されていない、彼女自身の匂い。
幸いにも、私は彼女の匂いに嫌な気持ちはしなかった。
一つ一つクリアしていく。
私たちの結婚は、もはやほぼ決まったも同然で、周りからも祝福されている。
だから、二人で手を取りゴールへ向かう途中にあるハードルは、有るか無いかもわからないような、低いものばかりなのだけれども、それでも私は、そのハードルに足を引っ掛けやしないだろうかと、ビクビクしながら慎重に進んでいる。
「こんなの大丈夫だよ」と、私の手を引く彼女に導かれて、私は彼女の望んでいるであろうことを予想して、辛うじて先回りの提案を続けている。
なんとか男としての面目を保っている状態だ。
そして、彼女も「男を立てること」が上手い。
惚れ惚れとするくらいに素敵な女性だ。
私のような情けない相手を、しっかりと立てて立派に見せようとしてくれる。
私を嫌な気持ちにさせず、自然とその気にさせてくれるのだ。
私も彼女も、これまでの人生で、多くの人と向き合い、そして自分と向き合ってきた。
だからこそ感じる心地よさ。
私たちの目指す道、歩く歩幅、二人の距離感は、お互いにとってベストマッチなのだ。
だから、私たちは迷うことなく先へと進む。
期間の長さは関係ない。
これから先に、どのような困難が待ち受けていようとも、私たちは力を合わせて進むのだ。