「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

マッチングアプリ上級者

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先日テレビで、「マッチングアプリ上級者」である女性がマッチングアプリ初心者の初デートを辛口評価するという番組をやっていたようだ。

SNSでトレンド入りしており、内容を興味深く拝見した。

 

「気が利かない」だとか「服装がおかしい」や「この対応は無い」などと得意気にダメ出しを重ねる上級者様。

 

そこに対する違和感。

その上級者だという方が既婚だというのならば説得力はあるけれど、どうやらそうではなさそうだった。

 

マッチングアプリ上級者」

 

もしかしたら、アプリで15人くらいの女性とデートをした私もここに含まれるのかもしれないけれど、私だったら恥ずかしくて「マッチングアプリ上級者」なんて名乗ることはできない。

 

簡単につながって、簡単に切ることができる。

その点では手軽に出会いのチャンスを得られる便利なツールだけれども、長く続けるほどに心が荒む実感はあった。

 

加えて、出会うまではどこか妥協した目で相手を見てしまう。

「とりあえず会ってみないとわからない」

それを合言葉にして、ひたすらに女性たちと出会いを重ねては「やはり違う」となる。

 

心から素敵だと思う女性とは1人しか出会うことができなかった。

そして、その女性とは、手を繋いで帰ったきり二度と会うことはなかった。

 

経験を重ねるたびに、理想ばかりが上がっていく。

 

容姿だけで先に進むことのできる傾向の強い、単純な男の私でもそう感じるのだから、女性はもっとそうなのではないか。

 

出会いを重ねるたびに減点ポイントは増えていき、自分のことは棚に上げて、相手を評価することばかりに躍起になる。

 

それまで出会った人たちの良いところをツギハギした、存在しない理想のハイブリッド彼氏やら彼女を目標に掲げて、それを追い求める。

 

理想はどんどん上がっていく。

人は時間をかけたものに対して執着を強める傾向があるものだから、婚活に時間をかけてお熱になればなるほど妥協できなくなっていく。

 

理想の相手と巡り合える可能性など、ほとんど無いことだと気がついているのに、それを信じてどこまでも突き進むことしかできなくなる。

 

お財布の中身は減らなくても、心はどんどん疲弊していく。

男はお財布の中身も減っていく。

そして最後は誰も選ぶことができなくなるのだ。

 

マッチングアプリなんてものはさ。

本来カジュアルに付き合いをはじめるためのものなのかもしれない。

そこに人生をかけるほどの価値はあるのだろうか。

 

出会いのきっかけは人それぞれだから、アプリでの出会いが悪いとは思わないし、それで結婚したカップルを何組も知っている。

 

だけれども、初めからアプリで結婚すると息巻いて、ガチでのめり込んでもあまり良いことはない。

私にもそういう時期はあったけれど、真剣に結婚と向き合えば向き合うほど、出会いのきっかけがアプリだということが足枷になる。

 

「気にしない」と思っていても、どこか頭の片隅に引っかかるものがあるのだ。

それは男女ともに同じなのかもしれない。

 

そして、結婚相手を選ぶとなると、その過程の中で必ずどこかで気持ちが揺らぐことになる。

「本当にこの人でいいのだろうか」と、そう思った時に人は些細なことを言い訳のための道具にする。

 

心の中のモヤがかったところばかりを掘り下げていき、粗探しの末に、アプリでの出会いということが引っかかり「やっぱりこの人ではない」と、そうなることは珍しくない。

 

アプリの出会いから結婚するためには、

出会い方を気にしなくなるくらいに相応の交際期間を設けるか、お互いが混じりっ気のない純度100%の気持ちで惹かれ合う必要があるのだ。

だから、ゴールまで辿り着く可能性は低い。

 

それでもアプリくらいしか出会いがないから、そこにしがみつくことになる。

そして、心はどんどん荒んでいく。

異性を評価することでしか、自分自身の性的な存在価値を見出せなくなる。

それはとても辛いことだ。

 

おそらく、それが多くの「マッチングアプリ上級者」のリアルな姿だろう。

 

一通りやってうまくいかなかったらさ。

マッチングアプリからは離れた方がいい。

うまくいかない経験を積み重ねるたびに、異性に対する目が「敵視」へと変わっていく。

それは、結果として結婚を遠ざける大きな要因になる。

 

さんざん体験談をブログに綴ってきたけどさ。

異性と出会いを重ねて、断り、断られを続けていたら、どんなに誠実であろうと思っても、異性に対する嫌悪感は生じてしまうのだ。

 

自分の価値は、アプリで推し量れるものではない。

自分の価値は、自分で決めるべきものなのだ。

 

人には向き不向きがある。

それは間違いのないこと。

 

手放してしまった方が楽になれる類のものが、

人生にはたくさん転がっているのだ。