「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

雑談の効果

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たわいもない会話の中に、相手の人となりが見える。

それだけで、相手も同じ人間なのだと安心する。

 

疑心暗鬼に満ちた時代だ。

隣にいる人が、人の皮を被った畜生の可能性もある。

「自分の身は自分で守らなければならない」と、そう喧伝される優しくない世界。

 

扁桃体や副腎は過活動を続けており、明確な不調ではない、何となくだるいという慢性的な不調に悩まされる現代人。

 

慢性的な不調の裏には、慢性的な不安が隠されているのだ。

 

人は、言葉を交わすだけで、多少なりとも心を通じ合わせることができる。

それなのに、隣にいる人とメールやチャットで会話をし、目の前にいる人の話を画面を見ながら聞く。

 

なんとも不健全な世の中になってしまったものだ。

 

目を見て話し、頷きながら話を聞く。

これまで何世紀もの間、人はそうやってコミュニケーションを図ってきた。

それがここ10年ほどで一変してしまった。

 

人の構造的進化は、そこまで速くはない。

だから、機械の方ばかりどんどん先に進んでいき、人は機械に振り回されているのが現状だ。

 

ステマティックになるほどに、無駄は省かれていく。

だけれども、人が心を通わせるために必要な無駄まで省いてしまったら、組織に対する帰属意識を醸成することはできない。

 

目に見えない不信感ほど怖いものはない。

それは陰で育っていき、気がつくと手に負えないくらい大きなものへと変わっている。

 

そこからのリカバリは困難だ。

一度育ってしまった不信感は、一人歩きして、他の人にまで負の影響を与えていく。

 

詰まるところ、雑談はリスクマネジメントだったりする。

育ちかけている不信感の芽を摘むための時間なのだ。

 

表面ばかり繕ってさ。

何を考えているかわからない。

良いことばかりを口にしてさ。

行動は別の方向を向いている。

 

ある種のマニュアルみたいな「良い人に見せるスキル」が先行するものだから、皆が皆金太郎飴のように、波風を立たせないリーダーを目指す。

 

その風潮に寒気がするのは私だけだろうか。

 

もっと個性を発揮した上で、みんなが生き生きと活躍できる組織が増えると良いのに。

 

「多様性を認める」

 

そんな体の良い高難度のお題目ばかりが一人歩きして、実態は伴わない。

個性を殺した画一的な組織の方が、格段に管理しやすいことは当たり前だから、余裕のない組織ほど、「多様性」とはかけ離れたものになる。

 

本当に「多様性」を認める組織づくりを進めるのであれば、現状抱えるタスクの3割ほどはバッサリと削るくらい抜本的に「余裕」を生み出すところから始めなければならない。

 

「余裕」があれば、自然と雑談くらいするようになる。

そこからがスタートなのではないだろうか。

 

帰属意識のない組織に対して、貢献しようと思う人はいない。

どうしたって、人が評価して、評価されるのだから、そこに納得を生み出さなければならない。

 

そのための雑談なのだ。

多少なりとも裏側が透けて見える相手と、共に時間を過ごすことで、人はそこを「居場所」にすることができる。

 

みんな心ではそういうものを求めている。

だから『SPYxFAMILY』が流行っているのだろう。

あの作品は、現代社会のメタファーなのだ。

ふと、そんなことを思った。