2022年のレコード大賞に選ばれた曲。
ネームバリューとしては、Adoの『新時代』だったのかもしれないけれど、本人が出演しないのだから、番組の格を考えると、それを大賞とはしにくい。
そんなことを考えていたが、この『Habit』もSNSでかなりバズっており、若者からしたら妥当との評価だ。
改めて聞いてみると、社会風刺が効いていて、セカオワの集大成と言えるくらいに、彼らの色の出た楽曲となっている。
人だって所詮は動物なのに、社会の一員であるが故に、理性を働かせて自分や他人を区分けしやすく「分類」しながら生きている。
「気が合う人」「技が合わない人」
「好きな人」「嫌いな人」
一度バイアスをかけてしまうと、
その方向にどんどん進んでいき、
期待や不安、妬み嫉み、称賛讃嘆と、
相手の価値を自分の物差しで見積もるようになる。
「自分の物差し」であればまだマシ。
「あの人がああ言っていた」
「この人はこうらしい」
そんな、自分では直接確認もしていないようなことをもとにして価値判断するようになったら、その人のことを見誤ることになりはしないだろうか。
今の世の中は、会ったこともない人たちの話を鵜呑みにして生きる時代だ。
ネットに情報は溢れかえっているものだから、簡単にデマを拡散することもできる。
自分の心に問いかけて、かつゼロかイチだなんてわかりやすい価値判断に安住せず、納得のできる選択をするために物事を吟味する必要があるのかもしれない。
しかし、それをするための時間を確保する暇もないくらいに情報が溢れている。
そんな時代を生きる私たちは、どのようにしたら自分らしく生きることができるのだろうか。
社会派な歌詞。
コミカルなダンス。
多くのリスナーに鮮烈な印象を残す作品だ。
SEKAI NO OWARI『Habit』