私は毎年50冊くらいの本を読んでいる。
気分によって読む本を変えており、複数の本を同時期に併読することがほとんどだ。
ここしばらく、私は小説ばかりを読んでいる。
少し前は新書やビジネス書のようなものを読む時期もあったけれども、今の私はそれらに気持ちが向かない。
過去の芥川賞受賞作を読み直してみたり、Amazonで気になるタイトルや作家の本を見つけては読み繋いでいる。
そんな私の心境を分析してみると、おそらく私は「現実逃避」したいのだろう。
小説を読むと、別の世界を体感できる。
いわば現実と向き合う必要なく、感情を動かすことができるのだ。
今の私は客観的にみて「幸せ」に映るだろう。
過去の自分から見た私も、間違いなく「幸せ」だ。
転職をし、妻と出会ってからの私は、間違いなく過去の私が望む未来を手に入れている。
しかし、人はいつだって無い物ねだりなのだ。
少なくとも今の私は、人生が固まっていくことに対する不安を感じている。
あれだけ結婚をして子供が欲しいと考えていたはずなのに、いざその時を迎えようとすると怖気付く。
だから私は、現実逃避のために小説ばかりを読んでいるのかもしれない。
心は時事刻々と変化している。
その時によって求めるものは変わる。
今は少し不安に押しつぶされそうになっているのかもしれない。
そういう時期があっても良い。
しかし、どこかで腹を括らなければならないのだ。
長い人生の中で、今ほど責任の重さを痛感する時期は珍しいだろう。
新しく生まれてくる命を、私たち夫婦は責任を持って育まなければならないのだ。
今は、共に働き、共に家事を行う時代。
当たり前のようにそれを求められるのだ。
もう少ししたら、子育てのハウツー本なんかを読み始めるのだろうか。
その前に名前を考えなければならない。
やらなければならないことは山ほどある。
そう考えると今くらいは、小説を読んでいても良いのかもしれない。