「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

心の距離

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「冷たいのと温かいのがあります」

「じゃあ、冷たいほうで、」

「じゃあ、私は温かいほうで、」


些細な連れ違い。

それすらも大きく感じてしまうほど、

心の距離は離れてしまう。


わからないくらいの速度で、

ゆっくりと離れていく。


人の心は難しい。


はやぶさ」が地球を飛び立ってから、

何年もかけて宇宙をさまよい続ける。


その旅路を想起させる。


真っ暗闇をただただ突き進む。

そうやって二人がそれぞれ進んでいたら、

どうやったって距離は離れてしまうだろう。


二人の距離を確認するためには、

どうしたって言葉が必要、


「居心地が良ければ言葉なんていらない」

そんなものは幻想に過ぎない。


一度は交わったはずの二人の気持ち、


言葉を交わすこともなく、

無為に時を刻んだら、

心の距離は離れる一方、


人は個体が違えば別の生き物、

どんなに分かり合えたつもりになったところで、

そういうものなのだ。


言葉の届かない距離まで離れてしまったら、

あとは奇跡を待つしかない。


真っ暗闇を突き進む二人が、

再び近づくという奇跡を、


「自分の道を進めばいい」


信じる道をただ真っ直ぐに、

進めばいい。


その先に交わるものがあるかどうかはわからないけれど、

辺りは真っ暗だから心にある羅針盤に従うしかない。


宇宙は広くて真っ暗だから、

ただまっすぐに進んでいれば、

自分の道を進んでいれば、


火照った体と同じように、

心も時間が冷ましてくれるはず、


「心がつながっている」なんて、

ただの勘違いだったんだよって、

きっと教えてくれるはず、


だから、

どんなに辛くたって、

後ろ髪を引かれたって、

自分の道を進むしかない。


ただただまっすぐに、

脇目も振らずに、


そうして生きている中で、

たまたま交わったものにだけ興味を向ければいい。


それがきっと「縁」ってもの、


自分がそう思えば「運命の人」

だけれどもどんなにそう思っていても、

心の距離が離れてしまったら「関係のない人」


人って都合のいいもの、

そうやって生きないとあまりにも辛いから、

だから思い込みで気持ちを整理しようとする。


人って、

健気な生き物、

 

辛さや苦しみから、

自分を守ってあげようと、

いつだって必死に生きている。


はやぶさ」が地球に戻ってくるまでに、

誰とも交わらなかったとしても、

たとえ成果がなかったとしても、

その帰りを大勢が祝福してくれるだろう。

 

人の心を動かすのは真摯な姿勢と一途な気持ち、

 

交わらなくたっていい。

ただただ自分のやるべきことをやり続ける。


それが誰かの笑顔になる。

人生ってそういうものなのかな。

 

気になる彼女と連絡がついた。

だけれどもどこか儚げな様子、

 

このままどこかに消えてしまうんじゃないかなって、

そんな様子、

 

会う日までまだ時間がある。

 

気持ちをつなぎとめるためには、

どうしたらいいのかな。

 

とにかく会うまではわからない。

今はそう思うしかない。