自尊感情は地に落ち続ける。
底が見えたと思ってもさらに底がある。
「女性と結ばれる」
私のその点においての能力は、
おそらく人間の枠を超えて、
全生物中でも最低クラスだろう。
犬も猫も鳥も魚も虫だって、
つがいになる。
私は独り、
機会を求めずに結ばれない人はいる。
ハナから諦めている人もいる。
だけれども私の場合は、
これでもかってくらいに動いて、
その結果いいところまで行ってダメ、
いつもそう。
いいところまで行ってダメ、
だからかえってダメージが大きい。
何なのだろう。
見えない力が働いて、
結ばれないように仕向けているとしか思えない。
もはや奇跡、
何度も奇跡が続く。
私は奇跡の人か。
ここまで行ってダメ、
もはや常識は通用しない。
女性の態度を信じることができない。
10日も経たない少し前までは、
「愛の言葉」のようなものを、
ささやきあっていたはずなのに、
本当に何なのだろう。
自分の不安を解消するために、
人を道具のように使って、
いつだって私は使われる側、
心は傷だらけで、
傷のないところを見つけるほうが難しい。
純粋を装って、
いい子のように振る舞って、
最後は冷酷に切り捨てる。
いい雰囲気だったのに、
他から言い寄られるとそっちに靡いて、
幸せを見せつけてきたり、
結婚が決まっているくせに、
マリッジブルーの隙間を埋めるために、
思わせぶりな態度で言い寄ってきたり、
社内での立場を守るために、
「うちに来てほしい」だなんて言って、
女を使って言い寄ってきたり、
甘い言葉を餌に心をつかんでおいて、
面倒になったら自分の都合で180度態度を変えてきたり、
女ってなんなの?
みんなサイコパスなの?
それとも私が食い物にしやすいから、
そんなのばかりが寄ってくるだけか。
きっとそうなのだろう。
私が奇跡の人だから、
救いを求めて言い寄ってくる。
哀れなストレイシープたちが、
私が差し出す「愛」に、
女としての自尊感情が満たされて、
意気揚々と去っていく。
私に残るのは、
使い古した靴底のように、
不恰好に磨り減った心だけ、
なんだこれは、
人助けか。
私の恋って人助けなのか。
もう奇跡なんていらない。
普通の幸せがほしい。