スピッツの好きな曲、
『渚』『空も飛べるはず』『ロビンソン』など、
有名な曲はたくさん思い浮かぶが、初めて聴いたときから私の心を捉えて離さない、そんな曲がある。
それが表題の『スパイダー』だ。
「スパイダー」と聞くと槇原敬之さんの『Hungry Spider』やhide with Spread Beaverの『ピンクスパイダー』が有名だけれども、私の中ではスピッツの印象が強い。
歌詞のストーリーは確立されていない。
聞き手に判断を委ねるような形になっている。
聞き方によってはロリコンの願望を表すような危うさを孕み、
どこか佇むエロティシズム、
なかなか面白い構成だ。
冒頭の
「洗い立てのブラウスが今 筋書き通りに汚されていく」
このフレーズがなんとも文学的で良い。
真っ白で眩しい君を、汚れた僕色に染めてあげるよ。
そんなメタファーだろうか。
私にはそういう願望があるのかもしれない。
相手に染められるよりは、相手を染めたい。
思い返してみるとそう思う。
「ますをさんにはすっごい年下か、少し年上が合うと思いますよ」
既婚の少し年下女性に言われたこと、
「すっごい年下」ならばきっと、私のめんどくささを「自分を持っている」などと勘違いしてくれるのだろう。
「少し年上」ならばきっと、私のめんどくささが「一生懸命でかわいい」と母性本能をくすぐるのだろう。
そんな私、
だからきっと『スパイダー』が心に刺さるのだ。
スピッツ『スパイダー』