彼女の方はガンガン突き進んでいく。
私の方は決断ばかりで少しばかり疲れている。
「マリッジブルー」
本来ならば、女性の方がそういう気持ちに陥るのだろうけれど、どうやら私の方が陥っているようだ。
あまりにも物事が早く進むから、気持ちの整理がつかないのだ。
彼女の人間性を疑う余地はない。
パートナーとして申し分ないと思っている。
それでも私には考える時間が欲しい。
考えているうちにチャンスを逃すのは、いつものパターンなのはわかっているのだけれども。
家族のこと。交友関係のこと。
結婚となれば、そういうものも含めて、ある程度は共有することになる。
そして、着々と進む準備。
あまりにも目まぐるしい。
仕事も忙しい。プライベートも忙しい。
だから、考える暇がない。
ただ目の前のタスクをこなしている。
考えすぎる性格の私だ。
そっちの方が良いのかもしれないな。
お互いが異性に対して、どこかトラウマのようなものを持っている。
そして、その中でもお互いが、お互いのことを異性として受け入れている。
それが私たちの関係だ。
それは「奇跡」だ。
私は私にそう言い聞かせているのかもしれない。
「人生で幸せを掴み取るためのチャンスは数えるほどしかない。だから、そういうチャンスを目の前にしたら、何を差し置いても、掴み取りにいくべきだ」
よく聞く話だ。
確か『ノルウェイの森』にも、そのようなことが書かれていた。
今の私の置かれている状況は、間違いなくチャンスなのだろう。
これまでの経緯を振り返ると、私が無駄な理由をつけることなく、ここまで進めたことが奇跡なのだ。
私は何も考えずに、流れに身を任せないと結婚できない人間なのだ。
誰もがそうなのかもしれないけれど、私は人よりも余計に無駄なことを考えすぎる。
もう突き進めばいい。
後先考えずに突き進めば良いのだ。
「気持ち」のことを待っていたら、いつまで経っても先に進むことはできない。
「結婚しない人生よりも、結婚する人生を歩みたい」
たとえその先に何が待ち受けていたとしても、私は結婚したいと思う。
そして、彼女のことを信頼している。
それだけで十分なのかもしれないな。
私は心から愛されて、そして、彼女のことを心から愛して、先へと進むのだ。
それでいい。