時代の変化は、加速度を増している。
もはや、意識して時代についていこうと努力しないと、取り残されてしまうほどだ。
私の部署においても、仕切りに「ゲームチェンジ」という言葉が使われるようになった。
「ゲームチェンジ」
ゲームを変えてしまうほど市場にインパクトのある変化をもたらす支配者を指す言葉だ。
AmazonやApple、Netflixなんかがこれに該当するだろう。
彼らは市場を席巻するどころか、新たな市場を生み出し続けている。
「先行者利益」という言葉がある通り、市場においては、市場を作り出した組織が圧倒的に有利なことは自明の理である。
ルールを作る人が、自分に不利になるようなルールを作るはずがないのだ。
こうしたゲームチェンジャーたち。
それに憧れを持つことは自然なことだ。
それを個人として目指そうとすることも自然なことだ。
しかし、組織全体としてそれを目指そうとすることは、果たして正しいことなのだろうか。
「ゲームチェンジ、ゲームチェンジ」と声高に叫ばれるに従い、足元が見えていないのではないかと疑問に思うのは私だけだろうか。
スタートアップの組織ならばそれでもいい。
しかし、何十年も会社をやってきて、それなりに多くのステークホルダーに囲まれている中で、ゲームチェンジャーを目指すことは、大きなリスクを伴うものだ。
敢えて大きな変化を生じさせることで、これまで積み上げてきた信頼を失う可能性はある。
それを保守的と捉えるのかは、状況によって変わるだろうけど、流行りに乗るかの如き、安易なゲームチェンジをするべきではないと考えることは、ある程度責任感があれば誰でも思いつくことだ。
「変わらなければならない」
「変わり続けなければならない」
時代に振り回されるあまり、自らのコアコンピタンスの価値を下げるような選択をするのであれば本末転倒だ。
自分たちの足元を固めながら、自分たちに合ったスタイルで、自分たちの強みを活かすことのできるような前進を続けること。
それが大事なのではないかと思う。
「変わること」が必ずしも正解とは限らない。
「変わらないこと」の中にも時代のニーズが含まれているのではないだろうか。
そう思う私は、すでに時代から取り残されているのだろうか。