どこもかしこも『鬼滅の刃』一色だ。
コミックランキングは、
1位から22位までを独占、
映画の興行収入では、
『タイタニック』を追い越して、
国内の歴代2位にまで押しあがったらしい。
「とりあえずコラボしておけばいい」
そんな風潮で溢れている。
こういうのを「社会現象」というのだろう。
私と「鬼滅」との距離感、
前に記事にしたけれど、
アニメの第1部は全て見た。
評判の良い19話は鳥肌もの、
テレビでやった総集編を見直すくらいには興味がある。
映画や原作は見ていないのだけれども、
とても力のある魅力的な作品だということに、
全く異論はない。
だけれども、
「みんなが知っていて当たり前」みたいな風潮、
どうにもそれに感じる「違和感」
それがCMでの「伊之助かよ」
その一言に込められている気がする。
CMで流れる、
「猪突猛進!」
「伊之助かよ」
このやり取りを見て理解できるのは、
多少なりとも作品に触れてきた人だけだ。
それ以外の人は「きょとん」とするしかない。
全くの置いてきぼりだろう。
缶コーヒーのCMだ。
本来の購買層はおそらくサラリーマン、
そこには『鬼滅の刃』など全く知らない、
50代、60代も含まれる。
コラボ云々ではなく、
この商品を愛飲している層もいるはずだ。
健康食品とか、
生活用品とか、
購買層の共感を誘う仕掛けならば、
「その層」にしかわからないくてもいい。
だけれども、
缶コーヒーのCMで、
『鬼滅の刃』を見た人にしかわからない内容ってさ。
ビックリマンチョコのシールだけを売ろうとしている。
そんな感じなんじゃないのかな。
ドラマ『この恋あたためますか』
このドラマではコンビニスイーツだけれども、
一つの商品を作るために多くの人の苦労がある。
そうして初めて世に出るのだ。
おそらくダイドーブレンドコーヒーだってそうなんじゃないのかな。
「売れるから媚びる」
それって長い目で見たら、
商品価値を損なっているような気がする。
今回の購買層のほとんどはコレクターで、
全28種類を集めたいから買うらしい。
それって中身は飲まないってことでしょ。
鬼滅側にしたってさ。
今が売り時なのはわかるけれど、
何でもかんでもコラボしていいものなのか。
私は『鬼滅の刃』にも、
「ダイドーブレンドコーヒー」にも、
特別な思い入れがあるわけではない。
詰まるところは、
利権を持っている人たちの好きにやればいいし、
「新たな購買層の掘り起こしを狙っている」って、
そういうことにしておけば誰も文句はないだろう。
そして何より「売れている」らしい。
商品を売るために流すCMだ。
世間のニーズに応えている。
目的を考えれば大成功なのだろう。
だけれども、
「伊之助かよ」に感じるむずがゆさ。
まるで、
「小学生が思い付きでCM作っちゃいました」
みたいな感じ、
自分が子供の頃に、
「欽ちゃんの仮装大賞」でやりたいと思って、
親からは「全くわからない」の一言で一蹴、
なんだかそんなことを思い出してしまう、
気恥ずかしさなのだろうか。
「伊之助かよ」
「みんな伊之助ってわかるでしょ?」って、
「自分が知っていることはみんな知っている」って、
まるで視野の狭い子供みたいな発想、
あのCMに「違和感」を感じるのは、
私だけだろうか。