どこにもいけない夏季休暇が始まった。
子供が生まれて初めての夏季休暇だ。
まだ子供を外に出せるような状況ではないため、近所に買い物に行ったりするくらいしか過ごしようがない。
普段の休日と変わらない過ごし方で、長い期間を過ごすことになる予定だ。
ここ最近思うこと。
「仕事をしていた方が気が楽だ」
子供と過ごしていると落ち着かない。
いつ要求が飛んでくるのかもわからないし、その要求を言葉で伝えてくれることはない。
身振り手振りから要求と思われるものを手当たり次第にこなしていくが、それでも要求が止まることはない。
あの手この手を尽くしたあたりで、理由はわからないが泣き止む。
少し前までは要求は単純だった。
ミルクかオムツのどちらかで解消することがほとんどだった。
しかし、ここ最近は理由のわからない要求が増えた。
自我が芽生える頃だからなのか。
理由もなく泣き出す。
そして、ひとしきり泣き飽きるとそれが止まる。
私が要求されていることなどないのかもしれない。
ただ泣きたいから泣いている。
そこに理由はない。
そういうことなのだろう。
そうやって過ごす夏季休暇が始まった。
休みがこんなに楽しみではないことは珍しい。
この中に楽しみを見出していかなければならない。
「振り返ると良い思い出」
よくそのように言われるが、今は今で良い思い出にしたい。
妻がフォトジェニックな写真を撮り出した。
私は妻の要求のままに、子供と同じようなポーズを決めたり、子供と仲睦まじく過ごす様子を演出する。
子供の要求に応え、妻の要求に応え、そうやって時間は過ぎていく。
「家族サービス」とはこういうものなのか。
学びの多い夏季休暇だ。