木枯らし

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ダウンジャケットの中にまで、

何枚も何枚もたくさん着込んで、

加えて厚手の靴下の上にはももひき、


ヒートテックなんて洒落た名前がついたものだから、

恥ずかしがらずに「履いています」だなんて、

どこか自慢げな会話が聞こえてくる。


またあいつが冬を連れてきた。


所々から聞こえてくる咳、

「少し長引いているの」だなんて顔を歪めながらも、

気のせいか、どこか季節を満喫しているように見える。


装いはすっかり冬、

変わらないのは女子学生のスカート丈だけ、


寒くたってなんだって、

おしゃれでいたいお年頃、


きっと「今しかできないこと」

彼女たちはそれを漠然と知っているのだ。


「たくましいなぁ」

ふと言葉が口をつく。


冷たいあいつに吹き付けられたって、

「今を生きる」熱量には敵わない。


「冬を楽しんでいるな」


外に目を向ければ、

冬を歓迎する印はそこかしこに転がっている。


年を取れば取るほどに、

「寒い」だなんて文句をたれて、

ブルブルと震えて部屋に閉じこもる。


どちらかといえば私はもうそっち側、


毎朝、家を出るたびに、

「寒くて嫌になっちゃうな」なんて、

心の中で文句を言いながら、

脳内で流れるバックミュージックは「冬がはじまるよ」

どうやら私も少しは冬の訪れを楽しんでいるようだ。


「今を生き続けていれば、いつまでも青春」


それに気が付かせるために、

今日もあいつは吹き荒んでいるのかな。

自分の身を粉にして、


「きっと君は来ない。一人きりのクリスマスイブ」


あと10日もすれば、

きっとバックミュージックは切り替わるのだろう。

 

「サイレントナイト」

 

ひとり静かに過ごす夜、

言い得て妙だ。


さて今から独男会でも企画するか。

でも前にクリスマスイブに男だけで鎌倉に行って心が折れた経験がある。

 

ホーリーナイト」

 

大いなるものに思いでも馳せて、

自分のちっぽけさを身にしみて感じるために、

どうやらおとなしくしていたほうが良さそうだ。

 

その方が先に進める気がするから、