「この価値観は素晴らしい」
「この考えは理想的」
「この人が言うならば間違いない」
どんどんどんどん膨らんで、
どんどんどんどん大きくなれ、
何があっても対応できるように、
どんな困難にもビクともしないように、
どんどんどんどん膨らんで、
どんどんどんどん大きくなれ、
そうやって集められた「言葉たち」
片っ端から飲み込んで、
もはや味もわからない。
食べて、食べて、食べ続けて、
いつの間にか「食べること」が目的になった。
「あれでしょ。知っている」
「そんなことも知らないの?」
「知っていること」が価値になって、
「知らないこと」を嘲るようになった。
みんなが知らないこんなことやあんなこと、
僕はたくさん知っている。
「だから」僕はすごいんだ、
「だから」僕は優れているんだって、
「だから」の中身には目を向けないでさ。
「歩くアーカイブ」だなんて呼ばれるたびに、
鼻を高くして「ピノキオ」
「夢」や「理想」の話だって?
何でも教えてやるさ。
僕に何でも聞いてくれ、
君の「夢」は何かって?
君の「理想」は何かって?
それはそう「あれ」だよ。
ユングが分析しているやつだ。
そうじゃないって?
あれ、おかしいな言葉が出てこない。
あれだけ言葉をため込んで、
何があっても対応できるはずなのに、
どうしてだろう。
言葉が出てこないんだ。
誰かの言葉ばかりを集めてさ。
それをつなげただけで満足して、
自分の生き方には還元しない。
ただの「ハリボテ」
中身は「スカスカ」
頭でっかちなだけの、
そんな「つぎはぎ人間」