半年ほど前までは、
まだ私の前には彼女の影も形も現れていなかった。
慣れない仕事に追われながらも、
プライベートは何も進む気配がなく、
「環境を変えたところで、転職前と変わらない悩みに縛られ続けるのか」と、
そんな考えが浮かんできた頃だ。
そこからは、あれよあれよと話は進み、
私の将来に対する悩みは、
以前とは全く違うベクトルへと進んでいる。
今の悩みを愚痴のように友人に話していたら、
「前の悩みに逆戻りしたいと思うの?」
と返された。
私は「全然戻りたいと思わない」と、
そう答えた。
「結婚」を望みながらも、
そこに至る道筋が全く見えないという私の悩み。
それは全く別のものへと変わり、
今は「結婚」に向けてやるべきことが多過ぎて大変だ、と悩んでいる。
カップルを見かけるだけで心がささくれ立っていた過去の私からすれば、
今の私は嫉妬の対象にされるくらいに幸せなのだろう。
彼女の眼差しは、
確かに私に向けられている。
それだけで、私は間違いなく幸せなのだ。
人はいつまで経っても無い物ねだり。
常に何かに悩んでいないと気が済まない生き物なのだ。
今の私の悩みは「幸せな悩み」
そのことを深く認識する必要がある。
彼女の存在によって、
私の心は満たされているのだ。
そのことを忘れてはならない。
満たされたことにより、
「ニヒル」を注ぎ込む隙間がなくなったからといって、
いつまでもそのことを嘆いていたら先に進むことはできない。
私は確かに先へと進んでいるのだ。
だから、大変なことばかりなのは当たり前だ。
それを乗り越えて、望む日常を手に入れる。
そうしたらまた新たな悩みが出てくる。
そしてまた、それを乗り越える。
人生は悩みと解決の繰り返し。
気がつくと遠くへと進んでいる。
それでいいじゃないか。
私は望んで、自らを大変な方へと進めたのだ。
それでいい。