あるアンケート結果によると、一昔前と比較して、昇格したいと考えている若手社員の率が大きく減っているようだ。
その理由は、コスパが悪いというもの。
単純に責任や労働環境に対して、昇格したときの昇級額が小さく割に合わない。
そういう考えもあるだろうけれど、それとは別の意味でコスパが悪いという面もある。
バブル時代を支えた日本特有の終身雇用は崩壊した。
今やマンパワーを投入しても、それに比例して成果の上がる時代ではない。
個々の能力に大きく差が出ており、新卒ながらに専門スキルを身につけている即戦力社員も珍しくはない。
能力の格差が大きくなった時代だ。
10代から世界を舞台に活躍するような人もいれば、大学を出ているが中身は空っぽという人もいる。
企業は優秀な人材を確保することが必要となる。
しかし、優秀な人材は自力で稼ぐ手段を持っている。
だから一つの組織に軸足を置きすぎることがリスクになる。
だから昇格することは「コスパが悪い」と、そういうことになる。
住宅を賃貸にするか、持ち家にするかに近いが、一度家を買ってしまったならば、その家から出ることは難しくなる。
それと同じように、一つの会社で昇格をして責任のある立場になると、そこから移動する際のコストも大きくなるのだ。
だから昇格自体がリスクになる。
そういうこともあるのだろう。
価値観の変化は加速していく。
すでに20代の若手と30代終わりの私では、仕事や職場に対する考え方が大きく異なるのだ。
あと20年もすれば、そういう世代が中心となって社会を動かしていくようになる。
20年先、果たして社会はどのように変わっていくのだろうか。
雇用形態がフレキシブルとなり、ほとんどの人がフリーランスで働くようになるのかもしれない。
人の代わりにAIが働く時代となり、日本でもベーシックインカムが導入されて、仕事が趣味と変わらない世界になるのかもしれない。
それくらいに時代は変化している。
思えば私も社会人としての折り返し地点を迎えようとしている。
私もそういう年齢になったのだな。