「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

世畜

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「NO」と切り返す気力がなくなってきた。

それは私が歳をとったからなのか。

それとも私の環境に起因するものなのか。

それはわからない。

 

少なくとも言えることは、今の私はだいぶ角が取れて丸くなったということだ、

言い換えれば、牙を失ったということなのかもしれない。

 

言い返せば、めんどくさいことになるのは目に見えてわかる。

だから、グッと堪えて、争いの火種になりそうなことは言わないでおく。

それを繰り返した結果、やりたくも無い。必要性を感じないことばかりを心を無にしてやり続ける。

 

そうやって私の勤務時間は浪費されていくのだ。

その結果として仕事ぶりが評価される。

所詮、サラリーマンというものは、如何に上からの要求を従順にこなすことができるかで出世が決まるのだろう。

 

スキームは出来上がっているのだ。

スパイスなど必要ない。

波風を立たせないことが大事。

ルールに沿って仕事を進めていく。

かつ、減点されるようなミスは起こさない。

それがうまくやっていく秘訣だ。

 

つまらない人間になったものだと感じる。

今の私は、世の中に強く主張したいことなどないのだろう。

もはや、会社だけでなく、世界に飼い慣らされているのかもしれない。

まさに「世畜」だ。

 

そうやって収まるべきところに収まっていく。

社会を構成するとは、そういうことなのかもしれない。

型から外れた人間に対して社会は厳しい。

ルールに守られながらも、ルールを破ろうとする、そんな無料乗りのフリーライダーを野放しにするほど、世間は甘くは無い。

 

めんどくさい。

めんどくさいことになる。

 

それを知ってしまったならば、

そのめんどくささに立ち向かうだけの気力を失ってしまったならば、立派な「世畜」の出来上がりだ。

 

牛や豚や鳥と同じように、人間も飼い慣らされているのだ。

途中で食肉にされることがないだけ、マシなのかもしれないが。