「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

「どーるちぇあーんどがっばーな」のその香水

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「どーるちぇあーんどがっばーなの

その香水のせいだよ」


ひょうきんなリズムに乗せたパワーワード

瑛人さんの『香水』が頭から離れない。


「くまむし」や「どぶろっく」なんかを連想させる。

チョコプラ」や「トレンディエンジェル」の斉藤さん、

さらには「オリラジ」藤森さんまで、

多くの芸人が乗っかっているようだ。

 

言っちゃ悪いけど、

この「手作り感」

完成度の低さが人を惹きつけるのだろう。

 

後ろで踊り狂うよくわからない彼女、

 

サビの部分だけを切り取ると、

まるで芸人のネタのような歌詞、

 

だけれども、

全文を読むととても切ない。

そのギャップがまたそそられる。

 


3年も会っていない別れた彼女から、

久々にLINEが入る。

「いまさら何なの?」と思いながらも会う。


変わってしまった彼女、

汚れてしまった自分、


「関係が戻ることはない」と思いながらも、

そこで「どーるちぇあーんどがっばーな」だ。

その「香水の匂い」が、

「現実の彼女」を浮き彫りにすると同時に、

思い出を美化する。


人は変わるのだ。


清純派だった彼女がふと取り出すタバコ、

「もう関係ない」

そう思いながらも「変わってしまったな」

そこに感じる「寂しさ」

もう咎める権利などない二人の関係、


人は変わらないと生きていけないのだ。


「無垢への憧れ」を抱きながらも、

「生きる」ために「狡猾さ」を身につける。

 

人が「思い出」をきれいなままにしたいのは、

「無垢への憧れ」なのだ。


「無垢だった自分」

それを確認するためだ。


きっとその当時だって、

それなりに「狡猾」だったはず、


だけれども「思い出」の中だけでは、

いつまでも「無垢な自分」でいられるのだ。


高畑勲監督『おもひでぽろぽろ


「無垢な自分」に思いを馳せる、

そんな最後のモラトリアム、

人生の大きな決断を迫られて、

立ち止まったときに、

背中を押してくれる「無垢な自分」


そうしてみんな、

少なからず「自分の醜さ」

それを受け入れて生きていくのだ。


「思い出」というものをマイルストーンにして、

「無垢だった自分」を確認することで、

「無垢ではない自分」を肯定する。

 

汚れてしまうたびに、

そういう作業が必要なんじゃないかな。


「夢見る少女じゃいられない」


だからせめて「思い出」だけは、

「思い出の中の自分」そして「彼女」だけは、

「きれいなまま」で居させてよ。


だけれども、

無情なものだ。

 

いくらそう願ったところで、

「香水」は残酷に香る。

 

今更連絡をよこした、

目の前にいる「ズルい女性」は、

見た目や好みが変わってしまっても、

確かに「思い出の彼女」であるという「現実」


「甘い香り」と共に、

それを突きつける。


「どーるちぇあーんどがっばーな」


図らずともすごい宣伝効果、

何とも罪なブランドだ。