「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

秋の夜長に・・・

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秋分

だいぶ日は短くなった。

夜が幅を利かせてくるのだ。


丸くて大きい月を主役にして、

星たちはここぞとばかりに躍動する。


そんな輝きに包まれて、

心を寄せる人と一夜を過ごせたならば、

どんなに素敵なことだろう。


スターライトパレード


月から主役の座を奪って、

舞台の真ん中に二人寄り添って、


「きれいだね」

「君のほうがきれいだよ」


甘い言葉をささやきながら、

その手の感触から伝わる体温に、

君が隣にいることを確かめて、

大きく息を吸う。


「まだここにいるよ」って、

夏がそう主張するかのような新緑の匂いに包まれる。


こうして季節は移り変わるのだな。


それぞれが「まだ終わりたくない」って思いながらも、

主役の座を取って代わられる。


次の晴れ舞台は一年後、

その日に向けて長い準備に入る。


お日様は顔を出す時間を減らして、

月にその座を明け渡し、

ひまわりたちはその種を土に落とし次の世代へ、

蝉たちは土の下で何年もの時を過ごして、

命を燃やす1週間という短い日々を待ちわびている。


そうやって変わるのだ。

いつまでも主役ではいられない。


見えないところで力を蓄えて、

長い長い時を経て、

ようやく日の目を見る。


諦めてしまわない限りは、


多くの女性の間をくぐり抜けてきた夏、

交わることはなかった。


文字通り、

くぐり抜けてきたのだ。


そのたびに経験値を積み重ねて、

少しばかりレベルアップをして、

そうして終わった夏、


この長い夜だって味方につけて、

次への活力にすればいい。


星たちは私の住処からは見えない。

だけれども暗い夜空の先で、

燦然と輝いている。


見えなくたっていい。

誰にも見られなくたっていい。


私らしさを見失わなければ、

それでいい。